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January 31, 2012

温暖化リスクメディアフォーラム

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 第4回温暖化メディアフォーラムという会合に参加.研究者とメディアに限る,という条件だったのだが,どっちつかずの立場で出席してしまった.アンケートに変なバイアスを入れてしまい,主催者には申し訳ない.
 地球温暖化については,有名な科学者の中にも,いわゆる「否認主義」の人たちがいて,専門でない分野でも本が出せてしまうので,本来の専門家の考えがうまく伝わらないことも多い.変な本を出す本人が,全くの善意でやっているのも困ったことである.メディア側も有名な人の意見は無視するわけにいかないところもある.
 そうしたことを少なくするためにも,普段から専門家とメディア関係者が意思疎通をして,お互いの疑問点をぶつけておく機会を持つことは非常に大切である.今回のテーマである災害リスクについても,こうした意見交換をしておくことで,非常時の情報発信がうまくいくようになるだろう.
 こうしたことは,科学の成果に基づいて,社会や市民が判断しなくてはいけない場合には,いろいろな分野で大切である.以前紹介した戸田山さんの意見とも関係してくる.また,これが継続的に成されることも必要.できれば教育関係者とも,こうした会をやってくれるとうれしい.

 画像は,帰り際に見えた大手町のビルの谷間から見た月.

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January 28, 2012

デジタル・プラネタリウム

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国立(くにたち)のT高校で,学校で使うデジタル・プラネタリウムの内覧会があるというので参加.システムは基本,前に見学させて頂いた平塚市博物館のものと同等.学校にドームスクリーンがあるというのはすごい.多分,iMAXとかのソフトも上映できそう.実際に納品されるときには4Kシステムになる予定とのこと.21世紀の科学教育の動画教材の主流はこうなるものとなるものと思われる.個人的には,このシステムや3Dで投影する動画やアニメーションの教材作りに興味があり,開発用PCのスペックなど教えてもらった.

画像は現在稼動中の五藤光学の小型投影機Venus.デジタルもよいが,このメカ感は味がある.


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January 15, 2012

「科学的思考」のレッスン

戸田山さんの「科学的思考」のレッスンを,しばらく前に読了.著者に直接質問してみようか,などと思っているうちに,時間がたってしまったので,ひとまずメモ.

科学哲学の基本を,あまり術語をつかわずにやさしく解説し,これをどのように原発事故問題などの現実に活かしたらよいか,という提案をしている.「哲学」というと実学の反対語みたいで役にたたなそうだが,そんなことはないということを.戸田山さんらしく,ユーモアも入っていて飽きさせない展開で語っている.「科学的リテラシー」を持った市民が,トランスサイエンスの問題について主体的に判断しなくてはならない,という主張で,そのために「メタ科学」についての知識が必要なのだと.
#術語まるだしで要約するとこう?

著者があとがき書いているが「書き足らないところ」というのは,「では,その主体的な判断方法については,哲学はどのような解決を提案できるのだろうか」というところなのではないかと思う.戸田山さんがどう考えているのか,チャンスがあったら質問してみよう.

以下,つっこみのメモ
・副題が,「学校で教えてくれないサイエンス」だが,私のところでは教えている.ここでガリレオが使っているのは「仮説演繹法」という推論方法です,などという形.学習指導要領に忠実だと,学校教育の「理科」は「自然科学」を教えることが目的ではないので,たしかに従来は「メタ科学」については授業されていない.ただ,いわゆるPISA的学力観では,メタ科学が身についていることをモロに要求されるので,これからは重視されるポイントになると思われる.

・伊勢田さんもつっこんでいるが,p47 地向斜説は,「ある政治的理由により日本では非常に影響力をもった説明」は,泊さんの本が根拠と思われるが,地質学の中心理論が地向斜説だったのは世界中そうだった.1960年頃までの科学の教科書は,外国のものを含めてこれで説明してある.日本でプレートテクトニクスが学校の教科書に登場するのは,当時の文部省教科書調査官のかたの努力で,海外と比較しても遅れているというわけではない.泊さんの本に書いてあるのは地質学の研究者コミュニティの中のできごとである.しかも,「政治的理由」だけではなくて,それと対立する地質学の研究者の中でも強く反対する主導者がいたことも,プレートテクトニクス受容の遅れに大きな影響があったはず.敵の敵は味方という構図があった.

・p91 クーロン力が距離の二乗に反比例するのを見出すのに万有引力と比較するという例を「類推」としている.自分で勉強していく場合,こういう理解になるかも知れないが,物理学的には別の説明になるだろう.中心点から放射したり働いたりする場合,その影響は距離の二乗に反比例するので,万有引力,クーロン力,磁力,あるいは点光源からの明るさなどは全部そうなるからだ.中心から四方八方に広がれば,距離の二乗に反比例する式が立つ.

ちなみに,伊勢田さんの書評はここ.クリティカル・シンキングを講義している人だけあって,細かいところまでつっこむのはさすが.

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January 06, 2012

東京都写真美術館

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東京都写真美術館で開かれている展示を2つ見に行った.本当は,7日土曜日と8日日曜日はイベントがあるので,そちらに行きたかったのだが,仕事が入りそうな感じだったので,やむなく一日前に参観.今回は,恵比寿よりの入り口ではなく反対側から行ってみた.こちらの方が正面らしい.

1つめは3階展示室のストリートライフ.19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパの街中を撮った写真が並んでいる.学校関係のものを期待したが,残念ながらなかった.明治時代のヨーロッパは,「列強」のイメージだが,英仏独とも庶民の暮らしは豊かではない.資本主義下の格差社会はこの頃からすでに問題なのだ.

2つめは,見えない世界のみつめ方.こちらの目的は,大阪市科学館や京都産業大学が持っているコペルニクス,ガリレオ,ケプラーといった天文書の実物が一通り見られる.加えて,オーサグラフ,スーパーアイや小阪淳さんの映像作品が見もの.特に,オーサグラフによるプレート移動の動画が収穫だった.言葉でクドクド説明するより,視覚的な表現の方がずっと説得力がある.教育用としても,どれも興味深い作品.

ただし,「みつめ方」の集録は,レーザープリンタの出力を簡易製本したものらしく,これを1800円で売るのはどうかと思う残念な出来・・・.

両方とも今月中の開催.

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January 01, 2012

新年

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昨年夏に義父が他界したため,本年は新年の挨拶を遠慮させて頂いている.

私自身も夏に命拾いをした.現在,経過観察中の身.
よく言われることだが,50歳を過ぎてから,自分の残り時間がどれくらいあるのか頭の隅に置くようになった.今までやってきたことで,まとめることができるものはまとめておきたいという気持ちが強くなった.今年やっておきたい個人的なことは,

・三波川変成岩類についてまとめ,学位をとる.
・自然科学の教育についての本の原稿をまとめる.
・ペンディングになっている酸性雨の関係の本の原稿を改訂する.

・5~4億年の年代の岩石の分析を進め,日本列島の起源に迫る.
・これを使って日本列島の通史をまとめる本を作る.
・若い変成岩類の年代測定と合わせて,変成岩上昇の仕組みを明らかにする.
・アパラチア変成岩類の年代学を進め,変成岩上昇の一般化したモデルを作る.

と書いてみて,1年では無理だと気づいた.手をつけているものから進めていこう.


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