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December 29, 2013

書評 巨大地震の科学と防災

巨大地震の科学と防災 朝日選書912 朝日新聞出版

 瀬川茂子さん(朝日新聞)と林能成さん(関西大准教授)が,金森博雄・カリフォルニア工科大学名誉教授のインタビューを元に構成した本.金森先生の地震学について自ら語る,というオーラルヒストリーになっている.瀬川さんたちが科学ジャーナリストとして一流ということもあるだろうが,一流の科学者が自分の仕事を語ると,数式等は一切使われていないにもかかわらず,分かりやすい科学的な説明になるという良い例だろう.
 全体を通じて,地震波形を理論と観測の両面から攻めて地震の物理に迫るという手法は一貫しており,これが金森地震学の真髄ということが分かる.自然の多様性を重視するという観点も,都城秋穂先生の哲学にも共通するように思う.理論的なモデルの限界をよく知り,観測データに基づいてモデルを柔軟に改良していく,という方針が明快で,高校生を含め,これから科学の道に入る若い人にとっても有用だろう.
 プレートテクトニクスの成立については,「地球科学の革命」とか,「思想の転向を強いられた」とか,大げさな表現をする人もいますが,私にとっては特別な出来事であったとか研究の方針が劇的に変化したという認識はありません.」(p.47),という表現で,アメリカで地球物理の研究をしていた人には自然なことだったと述懐されていることが印象的だった.
 金森先生は,純粋に地震の理学をやっていると思っていたのだが,防災についても心を砕いておられたことを読んで,認識を新たにした.

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